Waikikikiwi

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映画感想

さらば戸塚の怪鳥ピーヨ

*体調不良と家庭の問題で更新が滞りました。リハビリとして書きます。

 

無料Web漫画サイト「リイドカフェ」で2年に渡って連載された『ピーヨ』というホラー漫画が、先日ひとまずの連載終了を迎えました。かねてからひそかに贔屓にしていた本作ですが、一言で紹介するのは難しいです。基本的には一話完結の短編漫画で、ピーヨという謎のキャラクターが必ず登場し、多方面からほのぼのとした日常を侵食していきます。愛らしい絵柄でいながら、悪趣味なユーモアを多分に含み、面白おかしく人が死にます。

 

(このピーヨというのが、色んな悪意を象徴した意地悪な存在なわけですが、ピーヨ自体は非常にイノセントで悪意を感じておらず、ただそこにピーヨらしく有るだけで人間からピーヨに吸い込まれていき、振り回され、挙句破滅していくのです。言ってみれば魅力と無邪気さと恐ろしさを兼ね備えた魔性の存在なのかと思います。ふわふわでかわいい。)

 

ジャンルの幅の広さと予想のつかないストーリーテリングは大きな魅力の一つです。因果応報・不条理・ナンセンス・パロディ何でもござれ。また話数が進むにつれ、点在していたお話同士の横の繋がりが示唆されていき、次第に大きなピーヨユニバースになっていく高揚感もたまらないものがありました。

leedcafe.com

ピーヨと魔法の果実 (LEED CAFE COMICS)

ピーヨと魔法の果実 (LEED CAFE COMICS)

 

pixivコミックでは再連載中です。

https://comic.pixiv.net/works/5526

 

さて、そんな大好物漫画が終わってしまうのは寂しいと思った矢先、作者のしちみ楼先生が阿佐ヶ谷Loftで「失業Bar」というイベントを開くというので、昨日1ファンとして駆けつけ、"お疲れさまでした"を伝えてきました。差し入れを渡し、物販で金を落とし、お酒を飲み、帰ってきましたとさ。(健康上の理由であまり長居できなかったのが残念。)差し入れを受け取っていただけて嬉しかったな。お肉でも食べて英気を養ってください。そしてどうかお体をいたわってください。(よく「漫画家さんは命を削ってる」と聞きますので。)

 

今回物販で買ったのはピーヨのぬいぐるみで、これはしちみ楼先生が自ら縫い縫いして作ったもの。先生の器用さと戦略の正しさ(買わないわけがない)には目を見張るばかりですが、今日1羽を招き入れ、我が家のピーヨは3羽になりました。3羽も身近にいたら、そろそろ俺が面白おかしく死ぬかもしれないですね。いやはや楽しかったです。いつかまた連載が再開されますように。しちみ楼先生お疲れさまでした。

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耳をすませば音の雨

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今日は聴覚の話。東京はあいにくの雨でしたね。

 

目次

 

アンビエントサウンドの話

買いなおしたヘッドホンについて。寒い季節にはオーバーイヤー型。

www.sony.jp

 

このSONYのWH-H900Nというヘッドホンには、ノイズキャンセリングの他、逆に外の音を積極的に取り込む"アンビエントサウンド"機能が備わっています。これがなかなか画期的。ヘッドホンで音楽を聴きながら例えば電車のアナウンスを聞いたり、コンビニ店員とやり取りをしたり、ボタン一つで環境音が必要なシーンに合わせられるので、外出先ではかなり重宝してます。

 

さて、このアンビエントサウンドはただ環境音を聞くだけでも面白いもので、最近は音楽すら止めて色んな場所でおもむろに起動させてみています。素の耳で聞く音とも違いがあり、この機能で取り込む音にはカクテルパーティ効果がうまく働きません。人の耳は無意識に自分が聞きたい音を捉えますが、ヘッドホンはお構いなしに広く音を捉えます。この機能ではいうなればフィルターで漉す前の聴覚情報が聞こえてきます。

 

話は少し飛びますが、発達障害者の中には感覚過敏からこのカクテルパーティ効果の働きが弱い人がいます。自分の聞きたい音にフォーカスすることに困難があるので、定型発達者には何のノイズも無いように思える環境でも、騒音が苦痛に苦痛に感じることがあるそうです。この間、アンビエントサウンドを渋谷のスクランブル交差点で使ったときには、あまりの聴覚情報の氾濫ぶりに驚いたものですが、あの感じがもしや、彼らの聴覚過敏に近い感覚なのかもしれないと想像します。

 

職場で着用している耳栓の話

余談ですが、そんな私は私で特定の音に敏感な体質で、金属が擦れるような高い音がどうにも苦痛で仕方ないのです。"そんなもん誰でも苦手だろ"とお思いでしょうが、私の場合非常に閾値が低く、シャープペンシルがこすれる音が苦痛に感じることがあります。当然仕事にも幾ばくかの支障があるため耳栓を着用しています。少し高い買い物でしたが、高域の音だけをカットできるdBudという耳栓が非常に使いやすく、重宝してます。電気製品ではないので充電不要で、スライドすることでシャットアウトする音の量も調節ができます。ご参考まで。

www.makuake.com

 

Youtubeで聞ける音フェチ動画の話

最近は音フェチ動画Youtubeで視聴する事にハマっています。これはさっきのノイズキャンセリングヘッドホンとは非常に相性がよいジャンルの動画で、つい色々調べて聞いてしまってます。幾つか紹介させてください。

 

物の音

www.youtube.com

この「YAACHAMA J-ASMR」さんは黒い背景をバックにスタイリッシュな音フェチ動画をたくさん投稿している人で、私もチャンネル登録をしています。

 

他には音声の物もありますね。sksksksk

www.youtube.com

 

そして咀嚼音なんかも。

youtu.be

この「떵개떵」さんは食レポの音動画を専門的に挙げている方で、ビジュアル的にも豪快さが極まっている部分があって、好んで視聴しています。良い食べっぷり。そして動画はいつも途中から星空の画面に切り替わります。音だけに集中できるための配慮なのは分かりますが、星空を眺めながら只管咀嚼音を聞く時間は他にたとえようのないコスモを感じます。

 

視覚的にも楽しめる複合的な作品は他にもあります。

www.youtube.com

この「書道家 東宮たくみ」さんは 字を書く様子を専門に挙げているチャンネルです。この動画は、ボールペンの音を楽しみながら、ペン先の軌跡も一緒に楽しめるというもので、惚れ惚れするような美しいペン裁きは無限に見ていられます。さらにはテーマに沿った難しい漢字を知ることもでき一石三鳥。

 

以上、紹介でした。

 

ちなみにこの手の聞くとざわざわするフェティッシュな感覚ASMRと呼ばれているそうです。音フェチだと日本の動画しか引っ掛かりませんが、ASMRだといろんな国の音フェチ動画が引っ掛かります。ご参考まで。

ja.wikipedia.org

 

最後に

この話、先日の嗅覚の話の延長なのです。あれをきっかけに最近自分を見つめなおしまして。日々情報の雨から五感が何を得て何を好み何を嫌っているのか。そこに関心を向ければ、自ずと自分を癒す手段のバリエーションを増やせるのではないかと思って。ストレスフルな毎日が続くので、効果的なコーピングもきっちり考えていかないと…。

 

嗅覚の話はこちら

waikikikiwi.hatenablog.jp

 

ここまで読んでくださりありがとうございました。

『ビール・ストリートの恋人たち』映画感想

 *本記事には映画『ビール・ストリートの恋人たち』のネタバレを含みます。

オリジナル・サウンドトラック『ビール・ストリートの恋人たち』

オリジナル・サウンドトラック『ビール・ストリートの恋人たち』

  • アーティスト: ニコラス・ブリテル,Nicholas Britell
  • 出版社/メーカー: ランブリング・レコーズ
  • 発売日: 2019/02/20
  • メディア: CD
  • この商品を含むブログを見る

 目次

 

予告編

www.youtube.com

 

作品情報

原題:If Beale Street Could Talk

製作国:アメリカ合衆国

監督:バリー・ジェンキンス

脚本:バリー・ジェンキンス

出演:キキ・レイン, ステファン・ジェームズ, コールマン・ドミンゴ, セヨナ・パリス, マイケル・ビーチ, デイヴ・フランコ, ディエゴ・ルナ, ペドロ・パスカル, エド・スクレイン, ブライアン・タイリー・ヘンリー

上映時間:119分

(出典:ビール・ストリートの恋人たち - Wikipedia

 

あらすじ

舞台は1970年代のニューヨークのハーレム。幼馴染のファニーとティッシュは婚約を交わした黒人の男女です。19歳の時分にお腹に子どもを授かったティッシュはファニーにその事を報告しますが、報告を受けるファニーはガラスの壁の向こうにいました。ファニーは白人警官に陥れられ、無実の罪で投獄されてしまっていたのです。妊娠中のティッシュと家族はファニーの濡れ衣を晴らすため奔走しますが…。

 

感想

物凄く美しい映画でした。過酷な現実と人間の愛情、言葉にしてしまえば月並みですが、この映画はその2つのコントラストが非常に高く、片方がもう片方を陰影を強く浮きだたせるような印象でした。

 

物語は少し変わった時系列で描かれ、ファニーの投獄前と投獄後の様子が交互に切り替わるのですが、それもそのコントラストを高めるような繋ぎが印象的でした。例えば、冒頭2人が向き合いキスをするシーンは、拘置所のガラスの壁を隔てて2人が向き合うシーンに繋がったり、また、彼らが初めてセックスをしたシーンの後には、ファニーが濡れ衣を着せられたレイプ事件の詳細な話が語られたりもします。(ヽ''ω`)。

 

でも、ゲッソリするだけでもなくて、彼らを取り巻くコミュニティの暖かい隣人愛がそっと心に響くようなシーンもあります。新居を探すティッシュとファニーは、黒人だからという理由で門前払いを食らうことが多いのですが、ようやくまともに物件を紹介してくれる家主と出会い、心の交流を果たします。その家主の「愛する人間が好き」という博愛精神には心が温まりました。

 

家族愛も大きなテーマになっていて、ティッシュの家族は、勇気を振り絞って家族に妊娠を告白した彼女を暖かく祝福します。そして、ファニーの冤罪を晴らすために資金集めなど、自分にできることをします。その家族の在りようには、決して楽観的な状況ではないけれど、愛がある以上原動力は失わないような強さ(うまく言葉にできない)というものを強く感じました。

 

現実が過酷であればあるほど、愛情のもたらす生きる力は輝きます。また逆に、愛情の暖かさを感じれば感じるほど、それを引き裂こうとする現実の理不尽さへの憤りは高まっていきます。相反する2つの感情が心の中で響き合うような、こんな温かみと憤りが同じ濃さで心に残る映画は初めてでうまく言葉にできず戸惑っている自分がいます。

『TAG タグ』映画感想

 *本記事には映画『TAG タグ』のネタバレを含みます。

Tag (Original Motion Picture Soundtrack)

Tag (Original Motion Picture Soundtrack)

TAGは鬼ごっこという意味です。今作は残念ながら日本で劇場公開されなかった2018年の映画ですが、iTunesで配信されたのちにDVDスルーとなり、見ることができました。吹替がないのが残念。今作に出演しているジェレミー・レナーが『アベンジャーズIW』や『MI:フォールアウト』で姿を見せなかったのは、舞台裏でホーク・アイやブラント分析官が鬼ごっこをしていたから、なんて冗談が一部の映画ファンの間で話題になったような…。

 

目次

 

予告編

www.youtube.com

作品情報

原題:TAG タグ

製作国:アメリ

監督:ジェフ・トムシック

脚本:ロブ・マッキトリック,マーク・スタンラン

出演:エド・ヘルムズ, ジェレミー・レナー, ジョン・ハム, ジェイク・ジョンソン, ハンニバル・ブレス

上映時間:105分

(出典:TAG タグ - Wikipedia

 

あらすじ

ホーギー、ジェリー、ボブ、チリ、ケビンの5人は、9歳の頃から毎年5月に鬼ごっこをしており、30年経った今でもその習慣は続いていました。5人の中でもジェリーは、30年間一度たりとも鬼になったことがなく、毎年5月には消息すら掴めません。しかし今年の5月にはジェリーの結婚式があるということで、他の4人は何とかしてジェリーを鬼にしようと手を組むのですが…。

 

感想

遊びを卒業しない大人たち

映画の冒頭にこんな言葉が出てきます。"老いて遊びをやめるに非ず、やめるから老いる"  つまり、遊びを辞めるから歳を取るのだということです。大多数の人は、幼い頃に鬼ごっこで遊んだ経験があるかと思いますが、大人になっても鬼ごっこで遊ぶ人はそうそういないと思います。人間は皆どこかしらのタイミングで鬼ごっこを卒業し、大人になっていくものであると、この映画を見るまで私はそう思っていました。

ところがこの映画の登場人物は、ごっこを卒業せずに大人になった人たちばかりなのです。目から鱗が落ちました。人は子どもの遊びを卒業しないで大人になることができるのかと。そして気づかぬうちに私は幼いころの遊び心を捨ててしまっていたのかと。登場人物の殆どはハッキリ言ってアホばかりではありますが、自分が捨ててしまったイノセントさをいまだ大事に持てていることに関しては、はっきりと羨望の気持ちを感じます。

 

天才に翻弄されるヘッポコ

物語は基本的にはヘッポコ4人組の視点で進みます。彼らはジェリーを全力で鬼にしようといろいろ画策するのですが、変態的とも言えるジェリーの周到さと身体能力の前には人数差なんて関係なく、常に裏をかかれ、返り討ちにされ、翻弄され、手のひらで間抜けに踊らされます。その様子がとにかくコミカル。4人組がまんまとジェリーの仕掛けた罠に掛かるところが笑えます。

さらにジェリーの超人的な身体能力も見所で、襲い来る刺客をスーパースローで一瞬で分析して対処したり、手持ちの鞄やその場にあるドーナツですらも武器に変えて窮地をしのぐような、ジャッキーチェン張りのアクションも見ていて楽しいところでした。

 

楽しさこそがルール

この鬼ごっこにはみんなで作った分厚いルールブックが用意されており、それを改定をするときは休戦状態で全員が集まって同意をし、最後にルールブックの表紙に署名をするという堅苦しい手続きがあって、鬼ごっこらしからぬ重々しさが笑いをさそうのですが、この煩雑な手続きが一番最後の鬼ごっこのシーンを引き立てる一つの布石になっています。

どういうことかというと、最後の鬼ごっこだけは、遊びながらその場の流れでより楽しい方向へ、手続きもなしに、リアルタイムでルールが改定されていくのです。これこそ子供の遊びだよなと。中盤までは天才にコケにされるヘッポコ4人組を描いたちょっとフィクション度合いの高い鬼ごっこが続きますが、最後の最後で本当に子どものを遊びやってくれたなと。ここがとても私の琴線にささりました。子どもの遊びは楽しさこそがルール。型にはまらず、楽しい方向へ遊びが変容していくあの懐かしい感覚が蘇りました。

 

最後に

近年の映画にはジャンルを超えたノンフィクション物の大きな潮流がありますが、実はこの映画も事実にインスパイアされた映画なのです。モデルとなった鬼ごっこを続ける大人たちの実際の様子がエンディングロールで出てきますが、もう本当に微笑ましくて、いくつになっても童心を持っていたいとしみじみ感じました。

 

ここまで読んでくださりありがとうございました。

2019年3月公開で気になる映画

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あっという間に2月も下旬。今月も来月3月公開の映画で気になる作品をピックアップしてみました。公開日時と予告編を載せ、気になるポイントを書いています。

劇場公開

3/1公開

Noise ノイズ

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めちゃめちゃカッコいい予告編に目を惹かれました。無差別殺人事件から8年後の秋葉原を舞台に、絶望の中で生きる若者と大人たちの苦悩を描くとのことです。近年、邦画にはこの手のドメスティックなノワールが充実してきており、嬉しいやら苦しいやら。今作で長編監督デビューをされる松本優作さんは25歳ということで、私と年齢が近く、着想元の秋葉原無差別殺人事件を同じ世代の目がどの様に捉えたのか、どのように映画にしたのか、僭越ですが非常に興味深く思っています。テアトル新宿ほかで公開。

noise-movie.com

 

グリーンブック

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1960年代を舞台に、天才黒人ピアニストのドクター・シャーリーが、ガサツな白人用心棒のトニーを連れ、あえて人種差別が根強いアメリカ南部にツアーに出かけるというノンフィクションのロードムービーです。最強のふたりじゃないですけど、性格が間反対のバディが、お互いの違いに初めは面食らいながらも、少しずつ歩み寄って感化し合い、最後には人種とか出自とかの人間のガワを越え、魂の交流を果たす、そんなお話に目がないのです。人間の楽天性も見たいじゃない。楽しみにしています。

 

3/8公開

運び屋

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御年88歳、映画界の生けるレジェンド、クリント・イーストウッド監督の最新作。物語の主人公は、かつて伝説的な運び屋であった90歳の老人アール。金に困った彼が単なる車の運転だと聞いて引き受けた仕事は、実はメキシコ麻薬カルテルの運び屋の仕事だった…。イーストウッドグラン・トリノ('08)を最後に自身の作品への出演を引退していたものと思ってましたが、まさかの主演カムバック。今作もまた彼のキャリアの総決算になるのでしょう。グラン・トリノとの関連性はこの記事が興味深いです。

realsound.jp

 

スパイダーマン:スパイダーバース

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これは様々なスパイダーマンパラレルワールドの壁を越えて一堂に会する所謂"マルチバースもの。皆お馴染みピーター・パーカーはすっかりおじさんになり、今作では主人公のマイルスのメンターとして活躍する模様。CGアニメに手書きのアレンジを加えた独特のタッチのアニメーションが美しいですね。フレームレートもわざとカクカクになるよう落としてあるようで、コミックスと映像の良いとこどりをした様子。恐ろしく綿密に描きこみまれた夜のニューヨークの街並みはぜひ劇場の大画面で見たい。製作を務めるのはフィル・ロード&クリス・ミラーコンビ、さらにフィル・ロードは脚本も担当しておりオフビートなユーモアが楽しめそう。

 

シンプル・フェイバー

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『シンプルフェイバー』、訳すると"ささやかな頼み"。今作は『ゴーストバスターズ』のリメイクや、『デンジャラス・バディ』『SPY/スパイ』などを手掛けてきたポール・フェイグ監督の最新作、とは言ったものの、予告を見る限りではこれまでのアクションコメディ路線と趣の違う不穏な雰囲気が。サイコスリラーでしょうか。主演はアナ・ケンドリックブレイク・ライブリー。2人が対照的なママ友を演じます。これまで女性間の友情を下品さも含め熱く描いてきた監督ですが、今作の2人の関係性の行方は何処へ向かうのでしょうか。気になるところです。

 

3/15公開

キャプテン・マーベル

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キター!すっかりお通夜状態で終わったアベンジャーズIW!その最後の希望を託されたキャプテン・マーベル!エンドゲームに先駆けて公開されるこの単体作品は、時系列をかなり前に遡った彼女のオリジンを描くそうです。私、ポッと出が持っていく展開は後出しジャンケンのようであんまり好きじゃないのですが、MCUには『シビル・ウォー』の時のポッと出の陛下がめちゃくちゃカッコよかったという実績があるため、あんまり心配しておりません。エンドゲームが後に控える本作、はじめましての彼女がどうオセロをひっくり返しうるのか、刮目したいですね。

 

ブラック・クランズマン

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白人至上主義を掲げる秘密犯罪組織”KKK”に、黒人警官が白人至上主義者を演じて潜入捜査をするというサスペンス映画です。こちらもノンフィクション。最近過激なノンフィクション物が充実してますね。予告を見る限りでは、ポップなバディ刑事物といった印象で見やすそうです。先ほどの『グリーンブック』といい、世界に厳然と存在する人種差別問題の過酷な現実には胸が苦しくなりますが、その歴史の汚点に真っ向から立ち向かう人たちの姿には勇気づけられますね。

 

3/22公開

バンブルビー

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トランスフォーマーシリーズの過去を描いたスピンオフ作品。心に傷を負った思春期の少女とボロボロのロボットが出会い友情を育んでいく。しかし蜜月もつかの間、やがて2人は恐ろしい陰謀に巻き込まれていくのだった。監督はKUBO/クボ 二本の弦の秘密トラヴィス・ナイト、そして主人公の少女を演じるのは『スウィート17モンスター』で痛々しいハイティーンを演じたヘイリー・スタインフェルド。傑作確約の布陣に期待は高まります。"はじめての親友は黄色い地球外生命体だった――。"のキャッチコピーもいい。こっちはもう泣く準備はできてるぞ。

 

3/29公開

ダンボ

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まさかの実写映画化。ダンボは個人的な話、私の生涯ベスト級の特別な作品でもあるため、『メリーポピンズ リターンズ』以上に鑑賞には強いプレッシャーを感じます。『ダンボ』の物語は、異形の体に生まれついただけで疎まれてきたダンボが、メンターであるネズミのティモシーの励ましをえながら、最終的には自分の勇気でその特異性を武器に変え、一躍スターになるというお話で、その他者との違いを強く肯定するメッセージに私は強く心を打たれたものです。で、このプロットを補強する存在がネズミのティモシー。彼もまたネズミであるだけで疎まれてきた存在であり、そんな自分の人生を肯定しうるだろうダンボに希望を託しながら彼のメンターを務めるのです。で、この実写版では、あろうことかそのティモシーをモブネズミとして扱うようなので、ちょっと私としては心穏やかではない…。ティモシーのエッセンスを誰に託すのか劇場で見届けます。

 

レンタルリリース

3月はレンタルリリースも鬼のようなスケジュールです。 3/2は山下敦弘監督の『ハード・コア』、3/6はまた爆弾投下で 『ヴェノム』『サバービコン 仮面を被った街』search/サーチ愛しのアイリーン『響 -HIBIKI-』ルイスと不思議の時計』の6作が一挙リリース。3/20には『デス・ウィッシュピッチ・パーフェクト ラストステージ、そして3/29若おかみは小学生!、と気になるのは計10作品です。

 

気になるのが多かったのでそこからさらに興味範囲を絞って太字を付けましたが、本当は愛しのアイリーンももう一回見たいし(去年のベスト)、何ならブログに感想を書きたい。『ルイス不思議の時計』もあのイーライ・ロスがどんなファミリー向け映画を撮ったのか気になるところ。こうして新作映画共々リストアップしてみると、如何に娯楽が飽和状態化がよくわかるというか、時間も全然取れないしどうせいっちゅうんじゃーい!な感じです。

 

ここまで読んでくださりありがとうございました。自分のペースでやっていきます。

『女王陛下のお気に入り』映画感想

 *本記事には映画『女王陛下のお気に入り』のネタバレを含みます。

The Favourite (Original Motion Picture Soundtrack)

The Favourite (Original Motion Picture Soundtrack)

  • アーティスト: ヴァリアス・アーティスト
  • 出版社/メーカー: Decca (UMO) (Classics)
  • 発売日: 2019/01/07
  • メディア: MP3 ダウンロード
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目次

予告編

www.youtube.com

作品情報

原題:The Favourite

製作国:アイルランド, アメリカ, イギリス

監督:ヨルゴス・ランティモス

脚本:デボラ・デイヴィス, トニー・マクナマラ

出演:オリヴィア・コールマン, エマ・ストーン, レイチェル・ワイズ

上映時間:121分

(出典:女王陛下のお気に入り - Wikipedia

あらすじ

舞台は18世紀初頭のイングランド。女王であるアンは国軍を率いる将軍の妻であるサラに政治の実権をゆだねていました。サラはアンが全幅の信頼を置く幼馴染でもあったのです。しかしある日、サラの従姉妹で没落貴族のアビゲイルが職を求めて王宮へやってきます。アビゲイルは権力のある身分に再び返り咲くため、少しずつ女王に取り入り、女王の寵愛をサラから奪おうとしますが…。

 

感想

権力と愛憎

事前情報からサラとアビゲイルが権力を奪い合う宮廷陰謀劇を想像していたのですが、実際はそれに収まらないもっとドロドロっとした愛憎渦巻くお話でした。

話の中心には没落貴族のアビゲイルが如何にして女王に取り入り、ライバルから寵愛を勝ち取り、下賤な身分から権力のある地位へ返り咲くかといったストーリーラインがあって、アビゲイルが尊厳を奪われ底辺を這いずった日々を思えば、そのサクセスストーリーぶりには中々のカタルシスがあります。やったぜ!完全復活!と。

一方で、寵愛を奪い取られる側のサラは、女王を傀儡として権力を掌握していることは事実なのですが 、女王に寄せる愛情は実は真心からきているものであることが段々と分かってきます。つまり、この話は、サラの抱いた本物の愛情とアビゲイルが囁く偽物の愛情の間で、アン女王がどちらを選択するかといった愛の話のレイヤーがあるのです。結果として王女は偽物の愛を選んでしまうのですが、その悲哀が前述したカタルシスを感じる裏で寂しく響き、この映画の味わいを奥深くします。

 

そんなこんなで、思っていたよりもアン女王の存在感が大きかったです。彼女はわがままで、寂しがり屋で、駄々っ子のようで、一言でいえばめちゃくちゃめんどくさい構ってちゃんなのですが、その裏には子どもを17人も失ってきた深い悲しみを抱えています。彼女はひたすら人の愛情を欲しています。サラとアビゲイルの間でも、単に揺れ動くだけでなく、より欲望に正直に、積極的に二兎を求めます。アビゲイルにぞっこんな振りをしてサラの嫉妬を煽ります。「2人が私を奪い合うなんて最高じゃない!」

相手の愛情のようなものが、自分の権力を狙ってなのか、真心なのか、その区別がつかないというのが、権力以外何にも持たないような人間の哀れなところでしょうね。ちなみに私は権力以外何も持ってないし、権力も持っていません。

 

エマ・ストーンは最高

でも、女王がアビゲイルになびく気持ちも全然わかるのです。だって死ぬほど魅力的ですもの。アビゲイルを演じるエマ・ストーンはとにかく最高。仮病、ウソ泣き何のその、とにかく手段を択ばず着実に女王に近づいていきます。そして焦らし上手。身分を手に入れるためだけに爵位のある男をたぶらかして結婚にこぎつけるのですが、その男のもてあそばれっぷりがギャグの域。手で済まされるだけの初夜のシーンには死ぬほど笑いました。お前それでいいのか。

そういえば今作はエマ・ストーンがキャリアでトップレス姿を初めて晒した作品でもあるのですが、流石はエマ・ストーンヨルゴス・ランティモス監督というか、該当シーンは非常に映画的な演出が効いていて良かったです。一流女優の一大シーンですから、ただ漫然と晒すわけがないじゃないですか。アビゲイルがある一線を越えた時にバーンと鮮烈に映し出される裸体。美しかったです。エマ・ストーンのファンでよかった。

 

撮影や照明など

映画のルックスの方にも簡単に触れておきたいです。とにかくこの映画は画面が美しい。撮影場所はイギリスのハットフィールドハウスです。

www.gendai-guesthouse.co.uk

美術品は映画に合わせて独自のものがセッティングがされていますが、何といってもその豪華絢爛な空間を余さず堪能できるよう、撮影には広角レンズが用いられていました。パンフレットによれば照明は自然光らしいのですが、窓から降り注ぐ陽光が時間によって同じ女王の部屋を全く違った雰囲気に映し出し、それぞれが絵画のように美しい印象でした。蝋燭の照明もよかった。火が美しい映画は良い映画。またキャラクターの移動に合わせてものすごく滑らかにパンをするカメラワークも特徴的で、さっきの広角レンズと相まって空間の広がりを非常に贅沢に味わえました。

 

最後に

目には美しく、耳には心地よく、心は醜くどす黒く、あっという間の至福の2時間でした。今年見た中でかなりのお気に入り映画かもしれません。世の中いろんな悪意があふれる中、果たして私はアン女王を上から憐れむことができるほど、人の真心を見抜くことができるでしょうか。思い返せばだれにでも刺さりうる非常に普遍的な愛のお話であったのかなとも思います。でも私には金も権力なんてないから、それ目当てで寄ってくる人もいないでしょうね。あはは。

 

ここまで読んでくださりありがとうございました。

私『ターミネーター3』が好きなんです…。

目次

 

ターミネーター3』は黒歴史

ターミネーターシリーズって、3以降は黒歴史であるような風潮が何となくありますよね。5作目ターミネーター:新起動/ジェニシス』(2015)、そして先日ワークタイトルが発表された6作目ターミネーター:ダーク・フェイト』も、2の直接的な続編という位置づけなのだそうです。

eiga.com

シリーズを仕切り直すリブート企画はありふれてきましたが、シリーズを途中からやり直す例は珍しく、面白みを感じます。その上、それをターミネーターでやるというところも面白い。ターミネーター(主に2)は、主人公とターミネーターが互いに歴史を修正しようとする映画ですから、そこに作り手による歴史修正というメタな軸が入ってくるのは興味深い符合の一致です。作品の価値にはあまり関係ないですが。

 

ターミネーター3』の好きなところ

設定面

さて、そんな作り手の歴史修正の煽りを受け、たびたび無かったことにされがちなターミネーター3なのですが、実のところ私は結構気に入っているのです。まずはジョンのキャラ造形をはじめとした設定面。彼のキャラクターは、2のジョンが大人になったらどうなるかを凄く突き詰めて作りこんでいるように感じます。

ジョンは2の後、決して幸せな人生を送ってはいませんでした。3で青年になった彼は、公的な記録に自分を残さないようアメリカ各地を転々としつつ、日雇いの肉体労働でその日暮らしをしています。2の流れで見れば「そりゃ当然こうなるよな」と。

まず、彼は2の道中で様々な犯罪を犯してきているので、勿論日の当たる世界では生きられません。その上、未来でインターネット上の情報をスカイネットが掌握している以上、少しでも痕跡を残せば次の瞬間目の前にターミネーターが現れてもおかしくないという状況なのです。果たしてそんな状況で人間は正気を保てますか。3のジョンはダメ人間のように語られがちですが、私はそんな拠り所もない状態で毎日を生き抜いてきたジョンが好きで好きでたまらなくて…。

 

審判の日を防いだかどうかも、ジョンは何百回と考えたと思いますよ。「Hasta la vista, Baby!」の記憶があるってことはスカイネットがまだ未来に居るということでしょうし、そもそも審判の日を回避しちゃったらお父さんのカイルも未来から送られてこなくてジョンは生まれてこなかったことになります。だからこの問答は、「自分が存在し、幼少期の記憶もあるということは、やはり審判の日は来るのだろう」というところに落ち着くのですが、実際のところはどうなのか誰もジョンに正解を教えてはくれません。彼は来るかもわからない審判の日におびえて生きてきたわけです。

勿論今作のジョンは決して凛としてないですし、エアガンで人を脅したり、コソ泥したり、情けない一面も多く、泣き言も少なくなく、口は常に半開きほぼ全シーン半開きエドワード・ファーロングが演じた幼少期と比べれば、もうどうしようもなく花がない風貌ですが、それはそれとして、彼はもうただ生きてるだけで凄いし、偉いんです。これだけ覚えて帰ってほしい。

っていうか、あんなわけのわからん殺人ロボットに幼少期から人生めちゃめちゃにされて、唯一境遇を分かってくれる母のサラも白血病に倒れて、公的な医療も受けられないからジョンもサラが衰弱していくしていく様子を指をくわえてみるしかできなかったでしょうし、さぞ無念であったことか、なんて不憫な人生なんですか。彼の境遇を顧みてもまだダメ人間だなんていえますか。みんなもっと『ターミネータ3』のジョンににやさしくするべきですよ。

 

ダイナミックなカーチェイス・アクション

設定とキャラ造形からいろいろ汲み取ってますが、実際に映画で描かれている物事にもちゃんと好きなシーンはあります。まず序盤に、バンで逃げるジョン、それをクレーン車両で追いかけるT-X、それをバイクで追うT-850、という三者が入り乱れるカーチェイスがあるのですが、ちょっとどうかしているような迫力で大好きです。クレーン車に乗ったT-Xは電柱をなぎ倒し、車を押しのけ吹き飛ばし、プラズマキャノンでトレーラを爆破しながらダイナミックにジョンたちを追い立てきます。ジョンは半壊した街の中を障害物をよけながら逃げ続けます。BGMを排した前半と、一転してBGMが鳴り始めるポイントの緩急もグッド。

また、中盤にT-850とT-Xが建物内で戦うシーンがあります。肉弾戦がメインで、床や壁をド派手に壊しながら取っ組みあうのですが、ここまで派手なロボット同士の肉弾戦は2までにはなく、過去作にはない独自の魅力を作り出そうとする工夫がみられて好きです。特にトイレでの乱闘。T-Xを頭から便器に投げ込むシーンなどはターミネーターの腕力がきちんとアクションに反映されていてよかったです。

 

ターミネーター3』のおしいところ

ターミネーター3』が駄作といわれる所以に心あたりがないわけでもないのです。まず殺しの描写が非常に淡白なのは本当にもったいなかった。

比較対象にT-1000を出します。何故T-1000があそこまで怖いのか。2はT-1000が人をぶっさし殺す様子をこれでもかとあからさまに丸写しにするのです。口から後頭部を貫通、目玉から後頭部へ貫通、胸から背中へ貫通、肩を貫通と、見ている人がリアルな痛みを想像できるような遠慮のない描写がT-1000の恐ろしさを画の力で観客に刷り込むのです。

それに比べて3では、T-Xに殺される人の様子がなかなか画角に映りこみません。T-Xの劇中初めての殺しは、車を強奪するために運転手を手に掛けるのですが、T-Xを正面から捉えたショットで被害者が映りこまず、何をやったのかよくわかりません。何かむしり取ったような音がするだけ。その他、殺される音だけがして部屋の隅の写真に血が飛び散る様子が見えたりと本当にやる気がなくて。あまりに食い足りないです。なめてんのか。3は一か所だけもろ見えなシーンがあって、そこは掛け値なしに素晴らしかったんですけど…。

あと、せっかく全裸タイムトラベルで女性のターミネーターが送られてきたんだからさ、そこはちゃんと映してほしい(どうでもいい蛇足)。

 

ターミネーター:ダーク・フェイト』は楽しみにしてます

『ダーク・フェイト』はシリーズの生みの親のジェームズ・キャメロンが再び制作に携わるということで、それなりに期待をしております。「新たな命が吹き込まれたシリーズの"ルネッサンス"」を期待しますよ。ウッ…頭が…。

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脚本もキャメロンが書いているということで、タイトルの『ダーク・フェイト』というのも、2の最後を締めくくった「未来は先の見えないハイウェイ」という言葉を受けているのかなと予想したり、しなかったり。それから、サラを演じたリンダ・ハミルトンが再出演という点にも注目したいです。これまで自身の作品で強い女性を描き続けてきたキャメロンがサラを脚本上どのように扱うのか興味が尽きません。楽しみですね。

 

ここまで読んでくださりありがとうございました。

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